皮膚の診察を担当しております副院長の船津 奈美です。当クリニックでは皮膚科の治療に力を入れています。
私自身、皮膚が強いほうではなく皮膚の痒みのつらさを経験したことで、皮膚病で困っているワンちゃん、ネコちゃんが快適に生活できるお手伝いをしたいと考え、日々皮膚科の勉強に取り組んでいます。

皮膚は生まれながらの体質はもちろん、食事、生活環境、 スキンケアによって状態が左右されます。

状態が悪いときは薬の力をかりますが、1つ1つ見直していくことにより、薬にたよらず、あるいは最小限の薬の量で、落ち着いて生活を送れている患者さんもたくさんいます。

ただ、難治性の皮膚病の場合は色々な原因が複雑に絡み合っていることが多いので、順序立てて検査を行い、治療を組み合わせる必要があります。
しっかりとお話ししながら治療を提案してまいります。

こんな症状はありませんか?

痒がる

脱毛がみられる

ぶつぶつができた

フケが多い

赤みがある

シャンプーしてもすぐに皮膚がベタベタする

ひどくなる前にご相談いただけたらと思います。
来院前はシャンプーをされないほうが状態がよくわかります。
また今までの治療・投薬歴、食事やおやつの内容、シャンプーの種類を控えてきていただくと診察がスムーズにすすみますので、よろしくお願いいたします。

よくみられる皮膚病

<アレルギー性皮膚疾患>

■アレルギー性皮膚炎

ダニ・カビ・花粉などのアレルゲンに対して免疫が過剰に反応することでおこる皮膚疾患です。
3歳までに症状がでることが多いです。また、皮膚のバリア機能が弱いとアレルゲンが侵入しやすくなり、アレルギー反応が起きやすくなります。

症状 痒みが主体。痒みのため舐めることによる抜け毛や皮膚の赤みがみられる。
治療 痒み止めの内服
外用の痒み止めスプレー、クリーム、シャンプー

■食物アレルギー(食物過敏症)

食物中の成分が原因で引き起こされる皮膚疾患です。
1歳未満での発症が多いです。

症状 一年中痒みがあり、ブツブツや赤みがみられる。
治療 関与する食物は避け、厳密に食事管理を行う。

   

■ノミあれるぎー性皮膚炎

ノミに吸血されることでおこる皮膚疾患です。

症状 腰部を中心にした痒み、ブツブツ
治療 ノミの駆虫環境中のノミの駆除

<細菌性皮膚疾患>

■膿皮症

ブドウ球菌の感染による皮膚疾患です。
再発がみられる場合は、アレルギー、内分泌疾患を疑い検討していきます。

症状 ブツブツ、痒み、抜け毛
治療 抗生剤の内服
抗菌性シャンプー
消毒

<真菌性皮膚疾患>

■マラセチア皮膚炎

口の周り、耳、肛門周囲、皮膚に常在するマラセチアによっておこる 皮膚疾患です。
マラセチアは皮脂を栄養源とするので、
ベタベタした皮膚で増えやすくなります。

症状 皮膚の赤み、痒み、ベタベタ、抜け毛
治療 抗真菌性のシャンプー
抗真菌薬の内服
抗真菌剤の塗り薬

■皮膚糸状菌症

症状 抜け毛、フケ
治療 抗真菌薬の内服
抗真菌性の塗り薬
生活環境の清掃

<寄生虫による皮膚疾患>

皮膚糸状菌の感染によりおこる皮膚疾患です。
犬、猫ともに1歳未満での発症が多いです。
ヨークシャー・テリアでは若齢に限らず発症しやすい傾向があります。
猫では犬と比較して炎症が軽度であることが多いです。

■疥癬

疥癬の寄生による皮膚疾患です。

症状 重度の痒み、かさぶた、フケ
治療 駆虫薬
シャンプー

■ニキビダニ

毛穴や脂腺に常在するニキビダニが、何らかの原因で皮膚の免疫力が
低下し、増えることでおこる皮膚疾患です。若齢犬や高齢犬での発症が多いです。

症状 抜け毛、ブツブツ、皮膚の赤み
治療 駆虫薬    

スキンケアについて

肌を健康に保つための大切なポイント

  1. 肌にあったシャンプーを使用する
  2. 適切な方法で行う
  3. 最後に保湿をする

1.肌にあったシャンプーとは・・・

シャンプーの種類

過剰な脂を落とすシャンプー・オイル

余分な角質を落とすシャンプー

細菌感染に効果があるシャンプー

真菌に効果があるシャンプー

保湿性のシャンプー

などがあります。
これらのシャンプーを肌の状態によって使い分けます。
お薬と同じくらいの効果がみられますので、適切なシャンプーを適切な期間 使用することをおすすめします。

② 適切な方法とは・・・

シャンプーの種類

シャンプー前に5分間、毛と皮膚にお湯をなじませる

痒み赤みがある場合は、お湯の温度を低め(30℃くらい)にする

シャンプーをよく泡立てる

症状が強い部分からマッサージするようにやさしく洗う

5分〜10分シャンプーを肌に浸透させる

洗い残しがないようにきっちりすすぐ

タオルでやさしく拭く、ドライヤーを使用する場合は低音で離して使用する

5分〜10分シャンプーを肌に浸透させる

などのポイントがあります。

③ 最後に保湿をするとは・・・

シャンプーの種類

人の場合はシャンプー後にトリートメント、洗顔後に化粧水や保湿剤をされる方が多いと思いますが、ワンちゃんの場合もシャンプー後の保湿はとても大切です。

やさしい保湿性のシャンプーにも洗浄成分が入っておりますので、使用後の保湿剤の使用をおすすめしております。